主にゲームと映画

ゲームや映画に関する感想等を書きます。ネタバレはあります。

人喰いの大鷲トリコ

トリコをクリアしました。ストーリー以外の点について、主にICO要素が強い、ダンジョンを謎解きしながら進むスタイル。トリコの由来も、tri(3作目)+icoといったところか。言葉の通じない未知の生物とのやり取りで生じるもどかしさを楽しむ、初見全振りのスタイル。

ストーリーに関しては、主人公の語り等がある割には完全に明かされない部分も多く、例えばワンダでは10出して10回収しているとすれば、トリコは100出して60ぐらいしか回収していない感じ。ワンダではストーリーの掘り下げこそ少なかったがその分余り謎は残さなかった。

対してトリコは多くの謎を出しっぱなしで終えてしまった。例えばあの鏡とそれが備えてあった墓の様な物は何なのか、なぜ大鷲の巣に大鷲が嫌がるガラスが置かれているのか、少年の目がトリコに反応して光ったのは何なのか、等。

結局は、大鷲の巣はあの黒い球体の様な物が大鷲達を操ることで成り立っていたものなのか。気になるのはヨロイの存在。トリコを運んでいるシーンを見るに大鷲達の飼い主的役割が主なのか。まとめるとあの巣は、大鷲と、それを飼う飼い主が纏めて1つの頭脳に統率されていたと。

 

トリコの樽に関して、個人サイトの考察にあれは人が入っているのではなく単に褒美として与えられる餌で、人を食べてるのは塔のコア自身という説があったけど、概ね同意している。

というのもあの鷹のような石像、樽が飛び出した部分に入ってみると奈落に落ちてしまう。構造的にも人を樽に包んで出しているとは考え辛く、人を入れる部分と樽を出す部分は独立している可能性が高い。

それでも人食いの大鷲という呼称がある以上、説は2つに分かれると思う。
1つは、大鷲は人を樽に包んで食べている説。
もう1つは、大鷲が人を口に入れて去っていくから人食いと呼ばれる様になった説。

個人的には後者を押す。トリコはあれだけ一緒にいた少年をどれだけ空腹になっても食べなかったし、樽に包まないと食べられないというのも不自然な様に思う。大鷲が人を拐うのは塔のコアから命令があった時のみだし(少し自信が無いが)、人を食べているのは塔自身だと思っている。

 

(2016/12/11)

ファイナルファンタジー15

クリア前

色々ありすぎるけどとりあえず言いたいのは、昔のFFらしさを最新の技術で楽しめる事にある。主人公達の風貌は今まで散々言われてきた通りだが、彼らがしている事はFF6辺りまでに見られたFFの冒険そのもの。次の町に行く楽しみ、ダンジョンの探索など、自分は特にやりこんでいた5を連想した。

あと難易度は決して低くなく、スタイリッシュアクションといえど攻撃連打で無双ゲーできるワケではない。敵の弱点やカウンター、味方との連携など最大限活かさないと攻略は難航する。

 

絶賛FF15プレイ中で、折り返しっぽいイベント(リヴァイアサン戦)が終わったけど本当に圧巻の一言。今までにも似たような衝撃は味わってきたけど、街の風景から始まって大迫力の戦闘でピークを迎えるあのシーンは眠気も吹き飛んだ。

ただストーリー的には疑問というか不透明な部分がまだまだ多く、ここからの展開に期待せざるを得ない。

あとグラフィックに関して、最新の割にそこそこという意見が、映像のみの時点では多かったが、実際にやってみるとアンチャ4と同等かそれ以上の出来だと言える。多分、皆が「局所的にずば抜けたグラ」を望んでいるのだとしたら本作は「全体的に高水準なグラ」と言ったところか。

キャラの髪など細かい部分は気になってしまうが、他の風景などの造りはいつどこを注視しても粗がなく、よく作り込まれているんだと感心させられる。街並みなどの映像は本当に出来が良く、人が映っていないムービーが始まるとプリレンダかと疑う程。

 

とりあえずchapter10まで進めた上での所感。王国と帝国軍の関係性がいまいち分からん!王都襲撃で完全に敵対したのかと思えば、主人公一行は何度もアーデンに助けられている事に疑問を抱いている。

アーデン(帝国)とノクトはお互いにとってどんな存在なのか(排除したい?利用したい?)がイマイチ不明瞭で、アーデンは帝国とは別の思惑があるって線もありそうだけど、その割には帝国のキャラは彼ばっかだからアーデンの動向を帝国の動向だと判断するしかない。

あとは帝国が神たちをどうしたいのかもイマイチぱっとしない。神を倒してノクトの邪魔をしたいのかなーというのは何となく分かるけど、その割にタイタンがノクトに取り込まれ(?)ても特に反応も見せず、ラムウに関しては全く干渉せず。リヴァイアサンが出た時も見てるだけの野次馬状態。

クリア後

クリア完了。回復アイテム購入用の金稼ぎにちょくちょく討伐依頼をこなして後はメインまっしぐらで22時間程度でした。ストーリーに関しては意外と風呂敷を広げず、その分ちゃんと畳んだ感じかな(説明不足な点は多いが)。

あとはラストダンジョンが長過ぎだと感じた。あの制限や演出からして意図的に不快感や恐怖感を煽っているのだろうけど、それでもかなり長めなので苦痛だった。ラスボス戦は、それまでのボス戦で感覚が麻痺してるのかもしれないけど、割とアッサリしてたのでもっと派手で良かった気もする。

個人的にはもっと帝国軍との戦いにフォーカスしてほしかったな。映画で出てきた王とか一度も出てこないし(シガイ化した?)、帝国の敵キャラももっと掘り下げてほしかった。やはり帝国打倒からのラスボスって流れだとボリュームオーバーだったのか。

 

FF15の序盤のムービー見返してみるとやっばP変更の影響がストーリーの方向性の変化に明確に表れてるな。

とはいえ一作に収めるという方向性なら友情路線の方が適しているのも確か。ただ今回は野村が築いた戦争の壮大な土台は友情物語にとっては大きすぎて友情物語がちっぽけに見えてしまっていた。

 

(2016/12/02)

 

アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝

クリア前

最初の監獄での殴り合いについて、見た目の派手さもさながら、自然な流れでムービーに繋がる様に出来ているのが凄い。
タンクトップ&タトゥー姿の所謂ボスは、最初の内は消えていて、何人か雑魚を倒すと現れる。現れてからはひたすらネイトだけを狙ってムービーに繋がる下りに入らせようとしてくる。

解析してしまうと単純な仕組みだが、これを初見でやった時の感動は凄かった。前作までよりも臨場感あるカメラワークで、しかも敵も味方も多数のドンパチ騒ぎ。混乱しつつも格闘を続けているといつの間にかムービーに突入している。
この「いつの間にか」を上手くこなすのはかなり高度なように思える。

最近は自由度なりなんなりを謳ったゲームが多いけど、このアンチャのような「決まったレールを辿るゲーム」でも、そのレールがアトラクションの様にしっかりしていて、且つレールを辿っている事を感じさせない作りならまた別の楽しみがあると感じた。

クリア後

ストーリー面では、最終目的地に着いてからかがかなり長いと感じた(途中でアクセントはあるが)。そのせいもあって、半分以上が草木のロケーションで占められていて、折角のグラなのでもっと色んな場所を見たかったという感じ。

戦闘面も概ね満足だが、前作でも思ったが折角格闘での戦闘が面白いのに、格闘で戦う場面がほぼ無。まあリアリティ的に敵の集団が銃を持ってない状況というのは中々難しいので仕方ないっちゃ仕方ないが。でも監獄での乱闘に心をガッツリ掴まれた身としてはあぁいうシーンがもう二、三度あっても良かった。

 

(2016/05/20)

イニシエーション・ラブ

イニシエーションラブ見ました。とりあえず言いたい事から言うと、正直舐め切ってただけに度肝を抜かれた。

いきさつから話すと、「ラスト五分で全てが覆る」なんて言うけれど、ラスト五分の為に二時間も費やすなんて馬鹿げてると思い、ネットでネタバレを見てしまった(その時は別に見るつもりも無かったし)。しかし後になってじわじわと、そのシナリオはどんな風に描かれているんだろうと気になってきた。

そんなこんなで今回観るに至った。まぁ、「二度見る」なんて宣言されているし、その一度目を簡素に済ませたと考えれば今回は初回にして二度目のようなもの。「作品はネタバレくらってる方が楽しめる」なんて都市伝説もあるぐらいだし軽い気持ちで観てみた。

まず、賞賛すべきは、叙述トリックを映像化したその大胆な手法だろう。
似ても似つかない二人を、脚本と髪型だけで結び付けてしまう強引さは見事。

要するに「堂々としていればバレない」ということなのだろう。実際タネを知っていた自分でさえ、違和感を覚えたのは最初の10分程度で、以降はそんな事気にならなくなったし、前半のシナリオは明確に頭に残りつつ、主人公の見た目だけは都合よく見えなくなっていた。

そして次は良い意味で邦画らしくあった事だ。本作は巧妙な叙述トリックを用いた高度なサスペンスでありながら、その流れに囚われず昭和の雰囲気と、そこから生まれるコメディなノリを貫き、視聴者への分かり易さを重視している。

もっと言えば、「最近流行りの切なくて泣ける恋愛作品の皮を被ったサスペンス」と銘打ってはいるがその皮は本物そっくりではなく着ぐるみの様なものだ。
恋愛作品の要素である男女の接近と駆け引き、衝突と別れはとてもあっさり、且つ記号的に描かれている。

例えば重いシーンの直後に昭和のバラードを流す事で無駄に雰囲気を暗くせず、トリックに対する集中を削がれる事は無い。新しく出会った女性を可愛いと思えば、後は視聴者をハラハラさせる駆け引きや葛藤も無くすんなりとその人に惹かれていく。しかしそのすんなりさこそが見易さを作り出しているのだ。

ラストの答え合わせ的映像も作品としては反則の様な気もするが、そこに分かり易さを重視する日本人らしさや作品の雰囲気よりもエンターテインメントを取る良判断を感じる。

まぁエンターテインメントを優先したからこそのあの昭和な雰囲気作りなのだろうけど、ああいうギャグが許されるノリだからこそ、あの大胆な入れ替わりも受け入れられたのではないだろうか。

 

(2016/04/29)

ミスト

ミストを観た。あれだけ不思議めいた雰囲気を匂わせた霧を出しておいてからのあのB級モンスターには正直拍子抜けしたが、パニック物としての魅力も十分兼ね備えていたのでまあ良しとする。それと並行して(というかこっちがメイン)描かれる極限状態での人間という集団の統率の無さも興味深い。

ずっと宗教について喚いていた女が最初は腫れ物扱いされてるのに途中から支持を集める辺りに、「異常の中では普通が異常」つまり、異常こそが普通になってしまうという恐怖を見た。
そして度を超える恐怖の中では何でも良いからすがっていたくなるのだなと感じた。

あとはこの映画を象徴するあの結末か。大抵鬱エンドと言えば、主人公の努力が報われずに死ぬといったパターンが多いが、本作は言うなれば「死んだ方がマシ」な終わり方であり、視聴者に対してどうすれば良かったかは明確でないがとにかく現状で良いのだけど良くないという巨大なモヤモヤをぶつけてくる。

自分もあんな展開になって一体どんな結末を迎えるのかとハラハラしていたが、あの、悪く言えば拍子抜けでアッサリとした、しかしあの手の映画の、そして鬱モノの裏をかく様な結末は見事の一言。これほどまでにやるせなさと喪失感を与えてくれる映画もそうないだろう。

 

(2016/04/25)

バタフライ・エフェクト

バタフライエフェクト見ました。大好きなタイムリープ作品の中でも特に高評価な本作。当ジャンルの醍醐味である緻密に練られたシナリオは勿論、そこに切ない恋路の展開が合わさった事が大きいと感じた。全体を通して暴力的な印象の強い中であのラストシーンは泣けるものがあるだろう。

数パターンあるラストシーンについて、切ない展開派と設定の辻褄派がいるが、ぶっちゃけ自分は前者だ。勿論設定の矛盾を起こさず、それまでの流れを踏襲した陰鬱なオチも好みだが、タイムリープ作品に細かな矛盾は付き物であり、大衆に受ける作品にするためにはあの程度の矛盾は全く問題ないと思う。

大衆に受ける作品にするために。というと自分のような人達からすると聞こえが悪いが、この作品が世間から高い評価を受けたという事実を踏まえての結果論になるが、あのエンディングにしたことでタイムリープ作品というのが広く世に出回ったように思える。後の作品たちがこの作品から受けた影響を見ればその功績も大きいのでは。

 

(2016/04/14)

ライフ イズ ストレンジ

クリア前

ライフイズストレンジをプレイしているけどかなりドハマり。ストーリーが展開するにつれどんどんのめり込んでいってる。やり直し能力を活かした攻略は斬新で面白いし、それを使っても先の見えないストーリーは格別。

まだ中盤ぐらいなのだけれど、時間を巻き戻す演出もシンプルながら良質で、しかも操作可能なパートではほぼいつでも使えるので能力を思い通りに使えるという没入感は高い。

このゲームでミスチョイスしてしまった時にやり直すのは、あくまでゲーム中での話でありメニュー画面などからやり直すものではない。そのプロセスがまた良い。

クリア後

ライフイズストレンジをクリア。クリアしてみて思った点などが多々あるのでまた書いていきたい。また愛故に批判多めになってしまうが、良いと思ったからこそ理想を語りたくなってしまうのだ。

とりあえずはエンディングはマルチ制かと思ってたけど結局は二極化すること。今までの選択の積み重ねが結末に影響してくるかと思いきや飽くまで影響が出るのは道中のイベントのみ。まあそれで満足なのだが本筋を大きく分けるような分岐はストーリー中1個しかなかったように思える。

あとは能力についても基本的には原因不明のまま、使いすぎて体に悪影響を及ぼす描写もあったが結局はほぼ無制限に扱えている。まあその辺は合理性を求めたらの話で、今作ではその辺は重要視されていないので問題ないが。

もっと大きな分岐を増やしてマルチエンディングにしても良さそうとも感じたが、最終章の展開を見るにアレが演出面で見ても最高の面白さを持つ展開だと言えるかも。逆に言えばアレ以外の展開はナンセンスとも。

悪夢のパートは長すぎて途中でうんざりだったけど、精神的に来る恐怖感としてはかなりのものだし、主人公が感じる嫌悪感を自分も感じられるという点ではあの長尺もありなのか…??
まあ能力の酷使でいつの間にか悪夢に陥っているあの綺麗なグラデーションは良かった。

そしてレイチェルが生存しているルートもあったらなぁとは思った。あれだけストーリーの主軸として名前のみ登場していて、長期間の失踪という時点で何度も死が頭を過ったけど、結局その通りだもの。

プレイ序盤はこのシステムなら他ハードでもじゃんじゃんできそうと思ったけど、今のラインナップじゃなきゃ表現できないグラフィックの数々を見て納得したね。リアルなのだけど油絵の様な雰囲気を纏ったグラ、細部まで作り込まれた部屋や施設は開発陣のセンスを思う存分に発揮している。

インタビューを見てて思ったけど、選択をやり直せるのに悩んでしまうというのは面白いと思った。好きなだけ改竄がきくからこそ選択にはこだわってしまいたくなる、その面白さを引き出せているのも本作の魅力だ。

 

(2016/04/05)