主にゲームと映画

ゲームや映画に関する感想等を書きます。ネタバレはあります。

Marvel's Spider-Man

少し前だけどトロコンしたので思い出せる限りで。

今までも何度か似た様なシステムでゲーム化されているスパイダーマン。今回プレステ史上最も勢い良く売れた作品となったのは、海外ウケは勿論のこと、日本へのマーケティングをしっかり行っていたのも大きい様に思う。
今までは映画版のゲーム化という形だったが、今回新たにゲーム向けにリブートを行ったという事で、かなり力を入れていた事も窺える。

アクション

まずは誰もが言及したいであろうアクション面について。
スムーズなワイヤーアクションは本当に見事。簡単な操作で映画さながらな糸を用いた移動が出来る。操作性もとても快適で、R2だけでも問題無く移動できるし、様々なアクションを組み合わせていけば移動もスピーディになっていくので、プレイヤーの腕前に応えてくれる秀逸なシステムになっている。
そしてアクションの一つ一つが切れ目なく自然に繋がっていくのも、ゲームらしい挙動を全く感じさせない。
散歩しているだけで楽しいゲームのトップに君臨したのではないだろうか。

戦闘面について、始めに断っておくと、決して簡単な難易度ではなかった(デフォルトの設定の場合)。
基本的に敵は同時にかなりの数が出て来るし、使える技も開発の意向で最初からほとんど使える(逆に言えば使いこなす必要がある)。
慣れない内は敵にリンチされる事もしばしばあるだろう。
しかしその分、非常に奥が深いシステムになっていて、戦う程に楽しくなっていく作りだと感じた。
複数の敵に対して、如何に1人ずつ処理していくかが醍醐味となっている。
横槍を回避する、ウェブシューターで牽制する、空中に打ち上げる等して、大勢の敵の攻撃をいなしながら1人ずつ剥がしていくのがとても楽しく、被弾しない様に立ち回るのは操作も忙しくなる分、上手くできた時は見栄えも良くなる。
糸を駆使した格闘だけでなく、ガジェットというアメコミヒーローには欠かせない科学兵器が使えるのも嬉しい。一度に使える数は有限だが、アクションゲーにありがちな、節約してたら結局使わなかったなんて事態にはなっておらず、如何に活用するかが対集団戦をスムーズに攻略する鍵となっている。
ステルスアクションもオリジナリティがあり、新鮮で楽しかった。敵と同じ土俵で器用に隠れたり敵をやりすごしたりするのではなく、敵の頭上を自由に動き回り、孤立した敵からワンボタンで仕留めていく、本作のスピーディさを取り入れてテンポを損なって無いのがとても良い。

ゲーム性

ワールドやシステム面について、オープンワールドなのだが密度が非常に高い。マップの8割方が高層ビル群で、自由に飛び回れるスパイディにはピッタリなワールドだ。ビルの屋上から街を見下ろすのも粋だが、
地面スレスレをスイングして市民の目線で街を見るのもとてもリアル。広いだけで何も無い自然が続くオープンワールドに対するアンチテーゼの様な、とても作り込まれたマップだった。
街で発生した犯罪に駆け付けるというシステムも、プレイヤーにヒーロー感を与える良い仕組みだと感じた。戦闘だけでなく、街を広々と使ったチェイスが出来るのもスパイディらしさがある。
キャラの強化等については、街の至る所にある収集要素やミッションをクリアして、その報酬でスキルや武器を開放していく感じ。オープンワールドゲーではだれがちな収集要素だが、純粋に移動が楽しいのと、マップを開かずに場所を確認できる事もあり苦にならなかった。

ストーリー

ストーリー面については、リブート作ではあるが基本はスパイダーマンの雛形に沿った王道な展開。しかし、本編スタート時点で既にスパイダーマンとして活動してから数年が経っており、いきなりスパイダーマンとして操作できるのはゲームライクでグッド。
ミスターネガティブに時間を割いた割には、あっさり片がつき、終盤も駆け足気味だったり説明不足だったりはあるが、ラスボスとのやりとりやラスボス後の一幕等の見所はある。マーベル作品おなじみのエンドロール後の映像も、次回作を期待させるものだった。

勝手にTGS2018レポート

TGS行ってきて、それに関する感想(ほぼ愚痴)を書いてみたら思ったより量があったのでまとめてみる。

 

まず行こうと思った経緯として、ずっとTGSに行ってみたいと思いつつも遠くの出来事だと思っていたけどそうでもないと気付いたのと、あまり1人で遠出した事が無く一度はしてみたく、時間的にも余裕があり、ふと思いついて行ってみたくなったというのが主な理由である。

 

行動記録(殆ど愚痴)

まずは前日の夜、深夜バスに乗って出発。土日にしてはかなり安価な便を取った為、席も然程広くなく、サービスもブランケットのみだった。

居心地の悪さはもちろん、自身が普段起きている時間帯という事もあり、案の定あまりよく寝る事はできなかった。道路側は窓によりかかれるから良いと思った。

自分勝手ではあるが、前の客が無言で何度も席を倒そうとしてきたのが不快だった(自身の足とぶつかるぐらい倒れていたので、これ以上倒すのは不可能だった)。

 

東京についてから、簡単にまとめると、慣れない靴を履き、長距離移動が続いた為、足が痛くてかなりしんどかった。そこそこの重さのリュックを背負い続けたので肩も、また当然普段起きていない時間帯からの活動なので眠気に襲われたり疲労が貯まったりもありしんどさに拍車をかけていた。

 

全体的に、朝から晩まで立ったり並んだりの時間の方が長いくらいだった。朝は7〜8時くらいに会場に着いたにも関わらず、既に長蛇の列。ちなみに行きは行列が出来る事を見越してか駅から会場まで遠回りする様なルートになっており、そこそこ歩いた(入場券を渡すぐらいまでは滞りなく進んだが)。入場券を渡して少し歩くと前方の列が詰まった様で動きが止まってしまった。その後も列が動かずに開場時間に一気に進むかと思ったら、少し進んで止まるを繰り返す渋滞状態。

進むインターバルもまちまちなので、座って待つのも難しい状況(周囲が座ってないと座りにくいというのもある)。この時点でそこそこ足に負担が溜まり始めていた。9:30頃から列が流れ始め、場内には開場時間より少し早めに入れたのだが、KH3を始めとする体験コーナーは既に激混みだった。恐らくは先行入場できるサポーター達と、列の中でも自分より前方にいた人らの分で整理券の配布も終了してしまったのだろう(自分が並び始めた位置から入口まで人が並んでたと考えるとそれだけでもかなりの量だった)。

入場してみると既にかなりの人がおり、沢山のコンパニオンが呼び込みをしていたのが印象的だった。とりあえずグルッと会場を周って見るが、歩いてる最中は勿論、どこかに足を止めて出店を見ていても基本的には立ちっぱなし。ソニースクエニセガのブース等で大画面でのPVを観たり、PUBGのライブを眺めてる内に歩くのがしんどくなり、11:30頃に昼飯休憩。

既に2時間程立ちっぱなしで、早く足を休めたい一心だったので、行き方が分からなかったフードコートを諦め、近場にあった屋台で焼きそばを買い付近のベンチへ(カレーライスも食べたかったが食べやすさの点で焼きそばに負けた)。
食べる所を探して、食べて、休憩してる内に1時間経過。12:30頃、13:00からのKHライブを見るために無双OROCHI3のライブをやっているソニーブースへ。

休憩が終わった時点ではだいぶ歩けていたが、KHのライブが終わる14:00頃には立ちっぱなしで90分程経過しており、また、KHライブの待ち時間辺りから急激な眠気に襲われていたので(KHライブ中は流石に目が覚めたが。あと眠気と痛みに同時に襲われるのは相当辛かった)、ライブが終わってからソニーブース後ろのベンチで顔を伏せ、仮眠とまではいかないが30分ぐらいうとうとしていた。

14:30頃に活動再開し、おぼろげに会場内をもう一周している内に15:00に。今思うと最も無駄で勿体無い1時間だった。

15:00頃に初めて物販ブースの存在を思い出しそちらへ向かう。しかしブース内は周り切れない程広いにも関わらず、どこの店も行列しかなくて驚愕。15:30からのデスストランディングのライブを見たかったので諦めてソニーブースへ引き返したのだけど、既にさっきまでのライブの2倍以上の人がおり、最後尾はほとんど音が聞き取れない位置だった。途中までは見ていたが、やはり音がほぼ聞こえず、折角会場にいるのにステージが遠すぎてモニターを見るしかないのはどうかと思い、また、手土産無しで帰るのもどうかと思ったので、豪華キャストをひとしきり目に焼き付けて再び物販に向かった。

時間は既に16:00を周っていて、且つ待ち時間が1時間近いという事もあり、品揃えもろくに確認せずスクエニブースへ。SOLDOUTが多かったが1個ぐらい買いたい物あるやろと思っていたら見立てが激甘だった様で、KHグッズはアイストレー以外全滅。FFグッズもキャラをイメージした高価なネクタイやネックレス等ばかりしかなく(DQは買うつもりなかったのであまり確認してないがほぼ売り切れ)、悪あがきでモーグリ人形だけ買って会場を出たのであった。

この時も1時間ほど行列に並んだ後だったのでヘトヘト。しかし会場から駅までの道もかなり人がおり、しかも駅の券売機にまで行列ができていた。切符を買った後も、改札からエスカレーターまでが渋滞しており、数十メートルの距離ですら数分かかった。

けっきょく丁度乗り場に着いたタイミングで電車が来て、それを見送る事で次の電車に座る事ができた。

東京駅に着き、良い夕飯場所を探そうと頭では思っていても、休憩時間に対して歩ける時間はどんどん短くなっており、電車に乗ったり街を歩いたりして店を探す余力は無かった。

とりあえずまた休憩してから店を探そうと思い、ひとまずマックで休憩。結局駅から出る程の体力も無かったので地下街の静かなパン屋で夕飯を済ませた。どうでも良いが、TGSが終わり、深夜バスを待って駅で時間を潰しているこの時間が、なぜか最も一人旅をしていると実感できるひと時だった。

帰りの深夜バスも、行きよりは高価だがそれでも比較的お手頃価格。コンセントが付いていたり座席が最初から倒してあったりは良かったのだが、クーラーがかなりダイレクトに当たる上にブランケットが薄かったり、SAに着いた時に特に何のアナウンスも無かった(発車時刻等)のが気になった。

流石に疲れていたので寝落ちする様な形で寝てはいたが、それでも目は何度も覚めた。

また、すばらしきこのせかいのライブを見に行くのをすっかり忘れていた為、バス内で見た。

 

出展内容について

あまり多くのブースは周れなかったのだが、とても広い会場に沢山の人と、煌びやかなブースの数々は純粋に来て良かったと思えた。非常に安価な入場料も考慮すれば行くだけでも価値があると言えよう。

 

ソニーブースでは様々なゲームの̪試遊コーナーとSEKIROのキャラの大きな模型があった。個人的に撮影スポットならもっと良いキャラがあったのではと思ったが、そこは自分が無知なのが悪いのだろう…。スクエニブースではKHの試遊コーナーや、キングダムチェーンを持てる撮影コーナー等があり、どちらもかなりの行列だった。

試遊コーナーは整理券を持った人しか入れないのだが、奥の方にKHのイラスト等が額縁に入れて飾ってあり、その写真を撮るだけでも良いから入る事が出来なかったのが残念だった。

撮影コーナーの付近は、KHの一番くじグッズと、限定のPS4及びコントローラーが飾られており、実物を間近で見る事ができたので良かった。

どうでも良いが、ツムツムをフィーチャーした小さな撮影コーナーもあったのだが、そちらは利用している人がほぼいなかった。

反対側にはライトアップされた巨大なモーグリの下に大きなスクリーンがあり、今後発売されるスクエニのタイトルのPV等が流れていた。ソニーブースにも似た様なものがあったのだが、ただPVが流れているだけの場所に大勢の人が集まっていたのは、沢山の人々と一緒に大迫力の画面と音響で1つの物を観るというライブ感だけでなく、スクエニブランドの根強い人気と力強さも感じた。

SEGAブースではジャッジアイズのPVが流れており、こちらもかなり力が入っていた。

 

後は主にライブを見ていたのだが、業界の著名な人たちを生で見る事ができたのは嬉しかった。

スプラ大会の実況でおなじみOooda氏や俳優の本郷奏多、そして何と言っても今年のTGSに全力をぶつけてきた言えるデスストランディングステージでの小島秀夫大塚明夫を始めとする豪華キャストなどなど。

アントマン&ワスプ

一週間以上前だけど、凄く久しぶりに表題の映画観てきたので感想を。

 

衝撃的な結末を迎えた「インフィニティ・ウォー」以来のMCUシリーズ作品。

しかしそちらにはアントマンは登場していないので、実質的には一作目、シビルウォーに継ぐ作品となる。

時系列的にも、シビルウォーでの戦いの後、自宅謹慎処分となったスコットが釈放する直前からスタートとなる。

 

映画全体の雰囲気としては、一作目アントマンの流れはそのままな、コミカルでギャグ中心な明るい雰囲気で、子連れの家族でも気軽に観られる作品となっていた。

前作インフィニティ・ウォーで少し暗い気持ちや不安に襲われていたシリーズファンも、本作のギャグやアクションを気楽に楽しめたのではないだろうか。

この辺に関しては、インフィニティ・ウォーにアントマンを参戦させなかった製作陣の配慮が存分に行き渡っていたと言える。

ただし、エンドロール後の映像や量子の世界という新たな重要設定等、今後の結末に繋がるシリーズファン向けな要素もしっかりとあった。

 

ストーリーに関して

各所でも言われている通り、ワスプことホープが主人公と言っても過言ではないストーリーだった。

印象的だったのは、シリーズ作品の殆どに当てはまるヒーロー対(悪事を企む)ヴィランという単純構造では無かった事。

簡単に言えば本作のストーリーは、

ジャネットを救出しようとするハンク&ホープ、ハンクらの研究を奪い金を稼ごうとするバーチ一味、同じく研究を奪い自身の治療をしようとするゴースト

この三竦みがハンクの研究所(スーツケース大に縮まり持ち運び可)を奪い合うという構図である。

世界や誰かを守る為といったヒーロー然とした目的ではなく、力で人々を支配したり誰かに復讐をしたりといったヴィランによくある目的でもない。

それぞれ自分の為や自身の利益の為という非常にシンプルで直接的な目的であるので、立場が明確でとても見易かった。それと同時にヒーロー物らしさも無く、前作アントマンの特徴であった共感しやすいキャラの境遇等に、より寄り添ったと言えるのではないだろうか。

 

ただし、アントマンであるスコットに関しては、前作の時点でヒーローとしての在り方や家族との関係等、自身の問題を全て解決しており、今作ではぶっちゃけ周りに振り回されるだけとも言える(シビルウォーでハンクらに間接的に迷惑をかけているのでその償いとも言えるが)。また、後述のアクション面での問題等もあり、ワスプが主人公と言われるのは良くも悪くもという感じである。

 

ヴィランであるゴーストに関して、コミックでもあまり注目されていないキャラだった様で、本作で初めて見るという人も多かったのでは。

自分もその内の1人だが、個人的にはやはり、1人の特殊な力を持つキャラとして登場した割にはぽっと出感は否めなかった。

自身の能力が不本意に得たものである事、その治療を目的としている事等、特殊能力者の多いマーベルシリーズだからこそ栄える良い設定ではあったものの(スーツ無しでも能力を使える事にスコットらが驚くシーンも良かった)、それらの説明はいきなり、ささっと済ませられるので視聴者感情移入を得られにくいと思った。

無機質で不思議な感じのデザインも、アントマン達のレトロなデザインの雰囲気からは浮いており、シリアスな設定含めて他の作品ならもっと魅力的に活躍できそうだと感じた。

 

一作目と比べ、ヒーローになるまでの経緯や家族との向き合い方等の要素が排され、深く考えずに目まぐるしく変わる展開やアクションシーンを純粋に楽しめる、よりエンターテインメント性の高いストーリーになった印象。

 

アクションに関して

今作のアクションシーン最大の特徴は、シビルウォーで先にお披露目していた「大きくする」能力だろうか。大きい物を小さく、小さい物を大きく。我々が持っている「物の大きさ」の常識をぶっ壊してくれる作品だった。

予測不可能なサプライズ性、戦闘シーンのスタイリッシュさ共に正真正銘前作を超える面白さだったと言えよう。

SFチックなビームや瞬間移動等も無いので、見慣れてない人でも何が起こっているか分かり易く楽しめるのではないだろうか

 

個人的には、アントマンがスーツの故障等が原因で能力を自由に使えず、制限されまくりだったのが気になった。似た能力を持つワスプを引き立たせたり、アクションシーンに整合性を持たせたり(簡単に解決できない局面にする為)する為だとは思うけれど。

デッドプール2

デッドプール2観てきました。単刀直入に言うと、1の出来を大いに超える、駄作になりがちなシリーズ2作目にしては稀有な作品だった。

1の出来を超えたと言う事で、1の欠点との比較をする。まず言えるのは、1ではヒーローになるまでの経緯、ヒーローになってからの動機付け(ヒロインとの出会い等)を説明する必要があった為、そういったシーンに時間を割かれていた。

それらのシーンで退屈させない為に、時系列を入れ替えるといった工夫はあったが、各所でも指摘されている通りストーリーの単調さは少なからずあった。

2では当然バックボーンが出来上がっているので、魅力的なシーンがより詰め込まれているし、より様々なシーンで構成されているので、体感視聴時間は絶対に長く感じるはず。

また、キャラクターについても、1に比べて個性的なキャラが沢山登場。彼らとデッドプールによるぶっ飛んだキャラ同士の掛け合いは、1よりも面白いと感じた。

ストーリーについても、LOGANを意識してるというだけあって演出面は強化されている。特に最後に恋人と会うシーンではベタなBGMによる演出ながらも、久々に元のライアン・レイノルズの顔を見られるという事もあって、非常に感慨深いシーンとなっている。タイムリープについてもこれまたベタな設定でありながら、ケーブルというキャラを魅力的にしているし、エンドロールでのファンサービスシーンにも繋がる為とても良いエッセンスになっていた。

レディ・プレイヤー1

レディ・プレイヤー1観てきました。予告映像の時点で掴みバッチリだった本作。3Dで観てきたのでそちらの感想も。

 

映像について

やはり何より言及したいのは、ド迫力のCG映像だろう。本作のメインとなるVRゲーム「オアシス」の世界は全てCGで構成されており、2010年代のCG技術の集大成とも言えるクオリティ、第二の「アバター」的存在になったのではないか。

ゲーム内の世界観自体は、特に捻りは無くステレオタイプな近未来なのだが、その分映像のクオリティがストレートに伝わってくる。ホログラムで展開される立体的なメニュー画面やアイテムの受け渡しは、ゲームに慣れ親しんだ人なら誰でも興奮するのでは。

予告の掴みはバッチリだが、本編の掴みもそれ以上にバッチリで、個人的には最初のレースゲームの迫力と衝撃が最も印象に残っている。街並みはリアルなアメリカ、高速で走る車の群、そしてそれを襲うTレックスキングコングと、洋画の魅力を一箇所に詰め込んだ贅沢なアクションシーンだった。

そして、その後の逆走してコースを下から眺めるシーンでは、リアルな街並みの裏側に真っ暗な空間が広がっており、ゲームの世界であるという事を認識させると同時に、バグや裏技を使った時の様な(いわゆる「裏世界」に入る様な)ワクワクを感じさせてくれる。

他にも映画「シャイニング」の再現、最後の決戦等、映画好きには魅力的な見せ場も多々あったが、最もゲームらしかったのは前述のレースシーンだろう。

過去作のオマージュやキャラクターが多々登場した本作だが、自分の知見が狭いせいで知らないキャラクターが多かったのは残念。その辺は80年代や90年代の映画を楽しんでいた層へ向けたポイントなのだろう。個人的にはゴジラガンダムだけでなく、トレーサー等の版権キャラをもっと登場させても良かったのではと思ってしまう。

 

ストーリーについて

構成自体は、悪を倒す正義という非常にシンプルなものだが、そこにゲーム(ネット)とリアルでの人付き合いの差異等、現代ならではなテーマも盛り込まれていて、決して無視できない要素となっている。

ネットで人と関わる際には避けて通れない「この人はリアルではどんな人なのだろう」という興味も、本作では重要な要素となっている。

シンプルとは言ったが、イースターエッグを探すという主な目的については、ゲームや映画好きは反応せずにはいられない要素であり良いと思った。

 

 

ダンケルク

3か月程前だけど観たので感想を書く。

ノーラン監督が好きだったので観たが、今までのサスペンス系とは違う、しかし氏らしい独特の手法や製作の意図はしっかりと伝わる作品だった。

インセプションインターステラー等のCGやSF要素の廃された、良い意味で泥臭い作品。簡潔に言えば戦争の臨場感に全振りしていて、その為に徹底してシンプルを心掛けられていて、その点ではミニマリスト的とも言える。

本作の特徴とも言える3つの視点と時間軸は、やはり最初はややこしくて、前後関係が分かりづらいがそこは最早ご愛敬。視聴後にこういう構造だったのかと知って感心する為にある要素と言っていいのかもしれない。

臨場感を出す数々のエッセンスについて、やはり何といっても「間」の持たせ方が凄い。普通なら長すぎなのかもしれないが、視聴者に息が詰まるを通り越して息苦しさを覚えさせる。そこまでして漸く生まれる臨場感があった。

無限階調のBGMも、緊張や不安が破裂しそうだけどしない、膨らみ続ける事で更に緊張と不安が増すという効果を生み出している。

後は、舞台のほとんどが海上である事もかなり不安やストレスを煽った要因なのでは。どこにも逃げ場や隠れ場は無く、乗っている船が崩れたら終わりという恐怖。そして戦争映画ではあるが、敵と戦うのではなく、逃げる事を目的に据えた事も大きい。敵には勝てないという絶望感を植え付け、視聴者にも感情移入を促す。数ある戦争の場面の中で監督がこれを選んだ理由にも納得。

シンプルさの為に排されたキャラクターという要素。「セッション」でも似た様な事を書いたが本作でもキャラクターのバックグラウンドや個性を抑える事で戦場の臨場感のみに集中できる様になっている。また、それにより見ず知らずであり、偶然その場に居合わせただけで命を共にしなければならない軍人仲間との関係性も飲み込みやすくなっている。

 

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー観てきました。

2部作と聞いていたので(公開前に撤回された事を知らなかった)、風呂敷を畳み切らない終わり方は覚悟していたけど、想像を超える展開。そして単なる驚きだけでなく悪役であるサノスに対する、純粋な悪とは言い切れないモヤモヤも残るというMCUでも異色な作品だった。

シリーズについて

シリーズ終盤作品という事で、関わってくる過去作の数もエイジ・オブ・ウルトロンから更に増えた。自分はソーシリーズやブラックパンサー以外は、Dr.ストレンジやスパイダーマン等の新作含めて殆ど観てきたが、その視点での各作品の重要度について書く。

ソーシリーズは、見た事が無かったが、今回はアベンジャーズの中でも割と重要度が高いと感じたのでラグナロクぐらいは観た方が良いのかもしれない。

 

次に、エイジ・オブ・ウルトロン以降の参戦作品群について。

まず、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは無印、リミックス共に絶対に観ておいた方が良い。

当然と思う人もいるかもしれないが、アベンジャーズとの本格的な絡みが今まで無く、世界観的にもMCUと独立した印象が強かった為、本作でもゲスト的扱いだと予想していた人も多いのでは。

GoG自体は他MCU作品との繋がりは薄いが、本作のキーパーソンであるサノスや、イニフィニティストーンに関する設定、また、本作で活躍するメインキャラクター達についてよく知っておくと、本作の展開の理解、感情移入がし易くなるだろう。

ドクター・ストレンジについても、本作で重要なインフィニティストーンに関わり、活躍するキャラなので観る価値は十分あり(本編のアクションも個人的に好み)。

残りの作品の重要度はぶっちゃけ低く、ブラックパンサーについては観てないから断言できないが、本作を観る分にはシビル・ウォーで彼の存在を知っておけば十分だと感じた。スパイダーマンについても戦闘要員といった感じでストーリーへの関わりは薄く、アントマンについては登場すらしない(登場すれば良いという物でもないが)。

映像について

本作も例のごとくアクションシーン満載。しかし、宇宙や魔術等、非科学的な作品達の参戦によって、戦闘シーンのスケールは以前より大幅にアップしている。個人の好みはあるかもしれないが。その変化に合わせたアイアンマンの新スーツも、賛否の分かれる所だろう。

ただ、多数のヒーローが出てくるが戦闘スタイルのカテゴリ分けはしっかり成されており、本作ならではの超能力対決、洋画でお馴染みの格闘対決など、キャラ同士のスケール差は生まれない様になっている。

サノスの能力が強すぎるというか突出しすぎていて、太刀打ちする希望が全く感じられなかった事が気になったが、それは今後の展開に期待しておこう。

ストーリーについて

マーベル映画なのでストーリーはシンプルなものだが、本作で特に異質であった「サノスへのスポット」について書きたいと思う。

自分も他所の感想を読んで意識した事だが、本作ではサノスの登場シーンが多い。こう書くと、本作で初めて本格的に動き出すキャラなので当たり前だと言えるのだが、その描写のされ方は今までのヴィランとは一味違う。最初の方こそあまり違和感は無いが、ソウルストーンを手に入れる下りの辺りから転調が始まり、ラストはサノスが主人公であるかの様な雰囲気(当然、視聴者はそれに強烈な違和感を覚える)のカットでクレジットに入る。

簡単な言葉で言えば、サノスは今までのヴィランとは違い、完全な悪では無く、共感の余地のあるキャラクターという事なのだが、その余地が次回、恐らくシリーズ最終作となる作品でアベンジャーズの面々にどう影響を及ぼすのか、そもそもどうやってサノスに立ち向かっていくのかがとても気になる。良い引きの終わり方であったと言えよう。

ラストで残った面々は、ロケットなどもいるが、初期アベンジャーズのメンツは全員揃っていた様に見える。次回作は初期メンツ(ホークアイ含め)、アントマン、キャプテンマーベル等が主なラインナップとなるのだろうか。

どちらにせよラスボスを最初期のメンツで倒すなんて展開は、ベタながら王道だし勝手に期待している。もしそうであるなら、そこには当然トニーとスティーブの間に空いた溝に対するフォーカスもある筈だから。