主にゲームと映画

ゲームや映画に関する感想等を書きます。ネタバレはあります。

ミスト

ミストを観た。あれだけ不思議めいた雰囲気を匂わせた霧を出しておいてからのあのB級モンスターには正直拍子抜けしたが、パニック物としての魅力も十分兼ね備えていたのでまあ良しとする。それと並行して(というかこっちがメイン)描かれる極限状態での人間という集団の統率の無さも興味深い。

ずっと宗教について喚いていた女が最初は腫れ物扱いされてるのに途中から支持を集める辺りに、「異常の中では普通が異常」つまり、異常こそが普通になってしまうという恐怖を見た。
そして度を超える恐怖の中では何でも良いからすがっていたくなるのだなと感じた。

あとはこの映画を象徴するあの結末か。大抵鬱エンドと言えば、主人公の努力が報われずに死ぬといったパターンが多いが、本作は言うなれば「死んだ方がマシ」な終わり方であり、視聴者に対してどうすれば良かったかは明確でないがとにかく現状で良いのだけど良くないという巨大なモヤモヤをぶつけてくる。

自分もあんな展開になって一体どんな結末を迎えるのかとハラハラしていたが、あの、悪く言えば拍子抜けでアッサリとした、しかしあの手の映画の、そして鬱モノの裏をかく様な結末は見事の一言。これほどまでにやるせなさと喪失感を与えてくれる映画もそうないだろう。

 

(2016/04/25)